西野が静かになった亮二の腰から氷を外し、シップ剤を貼っていると、髪を湿らせた要が戻ってきた。
「――お父さんに…何をしたの」
真っ青な顔で要が西野に訊く。
「殺してないですよ。睡眠薬で寝てもらっているだけです。大人しく寝てジッとしてればすぐに良くなりますよ」
「ホント?」
要に表情が戻る。
「本当ですよ。ベッドにあげるのを手伝ってくれますか?」
「はい!」
「いい返事ですね。じゃあ、お父さんの足を持ってくれますか?」
「任せて下さい!」
亮二の看護にやっと参加できたと要が張り切っている。
「レイは筋肉質だから、見た目より重いですよ」
「…知ってる」
自分の上に覆い被さっているときの亮二の重さを思い出し照れる要を西野が笑う。
「愚問でした」
「先生も…見た感じより少し重い…です」
「意外と筋肉付いてるんですよ。逃げ足は速いんです。要クンは見た目通りです。とっても軽いです。華奢です。骨格を見る限り、手足は伸びると思いますが、間違いなく私より線の細い、綺麗な青年になると思います。大人になった方が、レイからもっと愛されますよ。あの人の子ども好きって、ただのトラウマですから。大人になることに不安や躊躇いを覚えては駄目ですよ」
「トラウマ?」
その言葉の裏に亮二の秘密が隠されている気がした。
「虎と馬のハーフのことですよ」
「…嘘だ~」
「ええ、嘘です。分らない言葉は自分で調べて下さい。それが勉強です。もちろん、経験で覚えることもありますから、そこは私が教えてあげますよ。さ、それより、早くレイをベッドに運びましょう」
せ~の、と放り投げるわけにもいかず、ゆっくりゆっくり、丁寧に振動を与えないよう注意しながら、亮二を二人は移動させた。
「お父さん、全然動かない…」
「寝てるだけです。静かに寝かせてあげましょう。食事してないんでしょ? ダイニングに行きましょう。ちょっと要クンにお話があります」
西野の顔が、少し緊張しているのを要は感じた。
「…話? お父さんは一緒じゃなくていいの?」
とても大事な話のような気がする。
「一緒に聞いてもらうはずでしたけど、寝てるので先に要クンに」
「僕が一人で聞いてもいいの?」
「もちろんです。是非、聞いて下さい」
行きましょう、と促され、要は西野と一緒にダイニングに向った。
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かのお方が…やっと両手でキーボードを打てるようになったみたいで…それで更新なのですね。はあ、待ちくたびれました…。by 時枝